この記事は、これから職業訓練制度を利用しようと考えている方向けに、自分の体験を元に職業訓練制度のメリットとデメリットをまとめたものです。
前職で数年間WEBディレクターを経験している間に、「もっとモノ作りの現場にいたい」という思いが強くなり、悩んだ末にちょうど今から1年前にシステムエンジニアに転職しました。
その際、職業訓練校に3ヶ月ほど通ったのですが、最近仕事を通じて職業訓練やスキルの独学について思うところがあったので、ちょうど1年の節目にいろいろ振り返って見ました。
目次
僕が体験した職業訓練
さて、では実際に僕が体験した職業訓練とはどんなものだったかざっくりと思い出してみます。
- 大阪府主催のJavaプログラマー養成科(3ヶ月コース)
- 月曜〜金曜まで朝10時〜16時30分くらいまで受講する
- 大阪市内にある民間の専門学校で受講する
- 内容は、Javaの基本・応用とMySQL
- 簡単な入校試験に合格後、受講資格が与えられる
- 受講者は40名ほど、年齢は平均20代〜50代と幅広かった
- 受講者の95%が実務未経験者
- 失業保険は入校した月からすぐに支給される
なんか思い出したら追記しますがざっくりとこんな感じでした。
では次に、実際に通ってみて感じた職業訓練を受講するメリット・デメリットについてまとめていきます。
職業訓練のメリット
入校後すぐに失業保険を受給できる
自分にとってはこれが大前提でした。
というかこの制度がなければ制度を利用自体しなかったレベル。
職業訓練校は職業安定所(ハローワーク)で申請して入校するのですが、通常、前職を自主都合で退職した場合、失業保険は3ヶ月(待機期間という)後から受給できますが、職業訓練校に入校すると、たとえ退職後3ヶ月以内でも入校後即座に失業保険の受給ができます。
お金をもらいながら専門スキルを学習できるというのは職業訓練にしかないメリットではないでしょうか。
一緒に学べる仲間がいる
プログラミングにせよなんにせよ、「勉強」することから遠ざかった社会人世代にはかなり大きな要素なんじゃないでしょうか。
思えば職業訓練校に通った3ヶ月間、一緒に学べる仲間がいたことでかなりモチベーションになった気がします。
さらにありがたいことに、卒業後も繋がって色々相談しあえる友達が数人できました。
わからない事を解決しやすい
講師の先生や、自分より理解が進んでる人がいる環境のため、分からないことを直接質問する相手がいる=不明点が解決しやすい、というメリットがあります。
特に、プログラミングの学習初期では、「何がわからないのかを説明できない」状況に陥りやすいため、ダイレクトに質問できる相手や環境があるのは大きかったなと思います。
職業訓練のデメリット
講師が現役エンジニアではない
職業訓練の講師陣は現役でシステム開発に従事されているエンジニアではありません(少なくとも僕の場合はそうでした)。
僕が受けた訓練校には講師が3名いましたが、うち2名は履修課題であるJavaを実務で扱ったことがない(と自分で言ってた)方たちでした。
なので、講義内容は教材(市販)を片手に読み上げるだけ、ひどい時は講義中に「ちょっと意味がわからないんで時間をください」と言われ講師が教材を理解するまで話が進まなかったりと、まぁお世辞にも充実した時間とはいえませんでした。
また、結構お年も召しておられたので(60代くらい?孫がいるって言ってた)開発者としてはすでに定年後、という感じで、今思い出してみても、最新の開発事情や現場ですぐに役立つ知識などはあまり得られなかった印象です。
全体的に授業のスピードが遅い
これは講師側ではなく、受講生側の話ですが、僕が通っていたクラスでは、前職がIT・パソコン関係の人は僕含めて1割くらいしかいませんでした。
なので、授業のスピードは自然と残りの9割(パソコン初心者に近い人も多い)に合わせて進行するため、受講前に配布されたカリキュラムに遅れが生じることも頻繁にありました。
職業訓練の性質上、どうしようもないことなので諦めるしかありませんでしたが、若干物足りなさを感じながら受講していました。
課題がつまらない
上記と似ていますが、予備知識のない人たちでも理解できる教材、課題を採用するため、授業中に制作するものはほぼ教材通りで面白みがなく、退屈なものでした。(とはいえ自分もそれらを完璧にこなせたわけではないですが笑)
教育機関としての質は「民間のスクール>職業訓練校」
職業訓練校しか体験してないので断言はできませんが、「同じ期間受講するなら」という観点で比較したら、教育機関としての質は「民間のスクール>職職業訓練校」なんじゃないかと思います。
職業訓練校は、あくまで失業者に対して国が教育の場を設けて転職の手助けをするためのものです。(もっと言えば、就職して税金を納めてもらうために手助けしているんです)
だから、無料で受講できて、さらに失業保険まで待機期間なしで受給できます。(本来、自主都合での退職なら失業保険の受給開始は退職3ヶ月後)
対して民間のプログラミングスクールなどは営利目的で運営される教育機関です。
講師には実務でその言語を使っている人(=専門家)がつくでしょうし、リピーター獲得のため、卒業時にどれだけスキルを非常に14するはずです。
つまり、
職業訓練=転職を手助けすることが目的
民間のスクール=技術を習得させて対価を得ることが目的
なので、目的が違うんですね。
また、民間のスクールは競合他社があり、市場原理にさらされているため、教育機関としてのクオリティも上がりやすいですが、職業訓練校では、そもそもそういった概念が当てはまりません。
そのことからも、同じ期間を費やして学習するなら、民間のプログラミングスクールの方がスキルは付くのではないでしょうか。
結論:完全初心者&収入が欲しい人は職業訓練がオススメ
最後の方は職業訓練校下げ〜な感じになってしまいましたが、職業訓練校は社会人世代には非常にありがたいメリットが多くある制度です。
なので、技術を習得する学習のとっかかりが見つけられない人(=完全初心者)や、どうしても収入を途切らせたくない人には職業訓練制度がおすすめだと思います。
以上、転職プログラマーが実際に体験して感じた職業訓練制度のメリットとデメリットでした。
コメントを残す